平成31年度 鳥取県立高校入試 問題と平均点と分析

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鳥取県立高等学校入学者選抜学力検査における得点状況

■教科別得点の平均点及び総得点の平均点(全日制課程)

年度 国語 社会 数学 理科 英語 総得点
平成31年度 26.9 30.1 27.3 31.3 24.6 140.3
平成30年度 29.9 30.4 24.6 28.6 27.7 141.2
平成29年度 28.3 27.6 27.4 31.4 29.1 143.8
平成28年度 27.9 27.4 25.2 30.6 30.3 141.3
平成27年度 29.6 33.4 26.4 27.2 28.9 145.5
平成26年度 25.6 24.9 28.5 26.7 30.7 136.3
平成25年度 23.5 27.1 27.5 25.2 27.1 130.5
平成24年度 25.3 30.0 22.8 29.2 26.6 133.9
平成23年度 24.9 29.1 23.2 29.1 26.8 133.1
平成22年度 29.1 30.2 26.5 25.4 22.2 133.3
平成21年度 25.2 24.9 29.5 23.2 23.7 126.6
平成20年度 25.2 27.8 21.2 25.5 31.1 130.7
平成19年度 29.8 29.2 21.0 28.7 26.0 134.7
平成18年度 30.6 24.7 17.6 25.7 28.3 127.0

■レイズによる分析

平成31年3月実施の鳥取県立高校入試 学力検査の平均点が発表されました。詳細PDFファイルはこちら
総得点平均点 140.3(250点満点) と、5年連続で平均点が140点を超えています。県の東中西部でバラつきはありますが、「5教科まんべんなく30点程度取れてやっと平均点に達する」入試となっています。ですので、これから受験する中学3年生の皆さんは「実力テスト等で各教科30点以上を取る」ことをまず第一の目標としてください。以下に各教科の出題傾向と難易度を分析していきます。

【国語】
大問は、昨年と異なり、問題一〈小問集合〉・問題二〈文学的文章〉・問題三〈説明的文章〉・問題四〈古典〉・問題五〈資料と会話文を用いた表現に関する出題〉の5題構成となっています。

問題一の小問集合では、漢字の読み書きや筆順、漢語や和語、慣用句・ことわざといった言語知識に関する問題など幅広い分野から出題されています。特に、和語の知識を問う問題の正答率がきわめて低い[問四6 .6%]結果が出ています。日常の学習から、慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ、和語・漢語・外来語の使い分けを理解し、語彙を豊かにしておくことが必要です。

問題二では、近年重視される傾向にある「内容を正確に読み取る力や問われていることに対して的確に表現する力」が求められる問題が出されましたが、正答率はかなり低い[問二9.6%]結果となっています。こうしたタイプの問題に対応するためには、ふだんから、決められた時間内で文章の要旨を読み取り,それら主要なポイントの関係性を明らかにして自分の言葉で表現する練習が欠かせません。

問題三では、「認知心理学における『スキーマ』概念を手がかりとした、人の記憶の不確かさ」をテーマとした抽象度の高い文章が出題されました。内容理解を問う記述問題での正答率が低い[問五10.7%]ことから、筆者の主張をとらえ、設問の条件に合わせてまとめる力を身につけておく必要があります。

問題五の条件作文は、資料を読み取った上で、「ら抜き言葉」について自分の考えに近い四字熟語を選び、意見文を作るという問題が課されました。

近年の全国的な出題傾向でもある「複数のグラフを読み取ったうえで、課題を解決していく」パターンの作文になっています。問われていることに合わせて資料から必要な情報を読み取り、根拠を明確にした上で自分の考えをまとめる作文練習をしておくとともに、読み取った内容を自分の言葉で表現するための語彙力の育成が求められます。
【数学】
大問構成は、今年が去年の5題から1題増えた6題の構成で、設問数が32問から35問と増えました。全県平均点は特に低い平均点であった去年から2.7点アップの27.3点でした。

問題の傾向としては、前年に引き続き資料を分析する問題の中で図表の意味を問われる出題や、確率を活用した説明問題、割合に関して説明的に立式をする問題など、論理的に考える力を問う問題の出題が目立っています。

受験生に対するアドバイスとしては、まず基礎計算を確実なものにすることです。また割合の扱いとそれを利用した問題に取り組むことや、資料の活用の知識、また根号の意味を理解するように心がけてください。説明問題は分野を問わず、多岐にわたって出題される傾向があるので、図形の証明に限らず自分の言葉で論理的な説明をするにはどうしたらよいかを考えてみましょう。
【社会】
大問構成は、例年通り
問題1〈地理的分野〉・問題2〈歴史的分野〉・問題3〈公民的分野〉の3題構成で、設問数は昨年と同数の37問でした。

地理・歴史・公民の各分野とも地図・グラフ・写真・イラスト・年表などの資料が多く与えられ、複数の資料を見比べて読み取った情報をもとに、基礎・基本的な知識を活用しながら答えることが求められています。

問題1の「各都道府県の工業」に関する表を用いた出題、問題2の「室町時代の琉球の交易」に関する図を用いた出題、問題3の「男女共同参画社会」に関するグラフを用いた出題などはその典型例です[問題1問3(2)76.6% 問題2問1(4)(A)75.1%(B)50.8% 問題3問3(3)73.1%]。基礎・基本的な事がらを確実に覚えるだけでなく、問われていることを正確につかんで資料を読み解く練習、覚えた事がらと照らし合わせながら読み取った情報を文章にまとめる練習も積んでおく必要があります。

また、問題2では、できごとの並べかえや同時代のできごとを問う問題が例年出題されていますが、その中で、「明治政府の政策」「2つの大戦間のできごと」に関する出題での正答率が低い[問2(3)46.2% (4)10.2%]という結果が出ています。

大きな時代の流れを意識しながらそれぞれの時代に特徴的なできごとを把握する学習をもとに、特に、近現代史の領域では、ヨーロッパやアジアの国々の動きと関連づけながら、あるできごと(原因)と他のできごと(結果)とのつながりを整理する学習が一層求められます。
【理科】
大問構成は去年と変わらず8題・設問数は40題でした。全県平均点は去年の28.6点から31.3点となり五教科の中で最も高い平均点で、去年に引き続き得点源となった教科ではないかと思います。

実際の出題形式は、記述式の説明問題は4題出題され、そのうち3題が正答率65%を下回る結果となりました。また計算問題が1題増えて8題出題され、こちらは正答率が6割を超えるものは4題でした。分野別には、ばねの伸びや抵抗値・濃度の計算は比較的よくできていましたが、消費電力や浮力などの正答率が比較的低いものとなりました。

教科書にある科学的現象に対してどれだけ深く理解ができているか、また他分野との関連性を探求する洞察力をもって学習に取り組んでいるかが試されているような内容でした。

受験生へのアドバイスとしては、ある分野において理解したことが、ほかの科学現象においても共通性が見いだせないかという視点をもつことです。また教科書にあるコラムページや関連性のあるニュースなどにも興味をもって知識の幅を広げていきましょう。
【英語】
大問構成は昨年と同様の5題構成で、「聞く」「書く」「読む」「話す」の4技能各領域にわたる基礎的・基本的知識とその活用力を測ろうとする出題意図が見られます。昨年に出題パターンが大きく変わった問題3の英作文は昨年とほぼ同じ問題構成でした。

英語の吹き出しをつけた5枚のイラストで会話の流れの大枠をつかみ、自分の考えを30語程度の英文で述べるという難度の高いテーマ作文です。こうした問題に対応するためには、自分の考えや気持ちなどを相手に伝えるための定型句や慣用表現のストックを増やし、日ごろから英語で自分の考えを表現する訓練が必要になります。また、問題4の長文読解では、大学入試センター試験を意識させるようなグラフ問題が出題されました。

内容一致のような本文と解答分を照らし合わせて正解を選ぶ問題の正答率は高いですが、本文から該当する箇所を抽出して日本語にする問題や、グラフから読み取れることを自力で言葉にする問題になると正答率は極端に低下します。能動的に情報を読み取る力を伸ばすこと、また、普段の勉強でも意図的に情報の読み取りに努めることが高得点につながります。


全体として昨年同様、
単純な知識問題よりも図表等読み取って答えを導き出す問題へのシフト
国語の作文や英語の英作文などの「書く」ことを重視
が特徴として挙げられます。

この2点について、しっかり対策を練る必要があります。
また、理科や社会といったこれまでは暗記で対応できた教科でも、初めて見る資料やグラフから読み取れる情報をもとにして解答を導くという新傾向の問題が増えつつあります。理科や社会を後回しにして夏に英語・数学・国語を集中して固める、というこれまでのやり方は通用しません。夏休みの間に、中1・2年で習った事項を確実にマスターしておく必要があります。